高齢者が住みやすいようにリフォームするためにはどうしたら良いのか


 高齢者といっても一人ひとり、体、資金、家の造り、などの条件が異なるのですからリフォームも個々に異なります。資金に応じて優先順位を決め、業者任せにしないことです。
 高齢期に最も大切なのがトイレの自立ですから、資金が許せばトイレの改造を優先します。
また、介護が必要となった場合は、医師、理学療法士、作業療法士、保健師などの専門の方と事前によく相談することです。パーキンソン病などのように進行していく場合には、将来も考慮したリフォームが必要です。認知症の場合は、リフォームをしたことにより環境が変わり症状が悪化することがありますので慎重な検討が欠かせません。
 公的な相談窓口は、市町村役場の福祉関係の部署や、地域包括支援センターなどです。リフォームの検討のためには、例えば「自宅で住み続けられる「終の住処」のアイデア・工夫」(国土交通省)が参考となります。

 リフォームの費用の目安を下の表に示します。介護保険制度では、要支援者、要介護者が自宅に手すりを設置する、段差を解消するなどの住宅改修をした場合、費用の9割相当額が償還払いで支給されます。支給限度基準額は20万円で、1割が自己負担です(償還払いで支給されるのは18万円が上限です)。支給限度基準額は原則一人生涯20万円までです【「介護保険における住宅改修」(厚生労働省)】。

項目  仕様  費用(目安) 
 段差解消    1階の庭から居室に車いすで出入りできるようにする 90万円
 一階と2階の上がり降りのため階段昇降機を設置する(直線タイプ) 80万円
 同(曲線外回りタイプ) 170万円
 手すりの設置  玄関ホールにT字型と横手すりを設置する 6万円
 ホームエレベーターの設置  木造2階建て二人乗り用(工事費込、リフォーム費用は別)  220万円
 トイレ   半坪  25万円
 車いす対応型(半坪) 50万円
 要介護者対応の洗面所、浴室  一坪タイプの浴室と一坪タイプの洗面所 300万円
 引き戸の設置  一か所 15万円
 設備機器類  流し台等セットもの  50万円
住み替え支援事業説明員等の養成に関する資料」(127ページ)より作成

 小規模のリフォームでは、段差の解消や、立ち上がりや歩行の助けになる手すりの設置が安全な生活の第一歩です。高齢になると目や下半身の機能が低下します。歩行時にはつま先が上がりにくくなるため、すり足状態に近くなり、わずかな段差につまづいたりして転倒することが多くなります。また、体のバランスを崩すことも多くなります。転倒すると、骨折の危険性があり、悪くすると寝たきりの原因にもなります。万が一、車いすを使用することとなった場合は、段差が大きいと移動が困難となります。
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床が滑りやすいなどの問題があると、バランスを保ちにくい高齢者は足を滑らしたりして危険です。床材は、滑りにくさ、強さを考えて選びましょう。
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 大規模なリフォームでは、トイレ、次いで浴室など水回りのリフォームを優先するとよいでしょう。さらに、寝室、玄関、居間などからスムーズに移動できる経路を確保し、また、可能ならば廊下を拡げておくことが望まれます。
 トイレは、高齢になっても自立して生活するためには大切な場所です。左の写真の便器の蓋が赤いのには理由があります。詳しくは漫筆の記事№4をご覧ください。トイレ
 入浴では戸の開閉、浴室内の移動、浴槽への出入り、体洗い、蛇口の操作などがありますが、浴室は狭く、滑りやすいので、生活の中で最も難しい動作といわれています。浴室
なお、建て替えは新築と異なり、古い家の取り壊しや整地の費用、建て替え中の仮住まいの費用や2度の引っ越しの費用などが必要となりますのでしっかりした計画が必要です。




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