老後と住まい

居住用財産を譲渡した場合の課税の特例

不動産の譲渡所得については所得税住民税がかかります。しかし、居住用財産を譲渡した場合、要件を満たせば、課税の特例があります。
正確には、所得税については国税庁のホームページを、住民税については各都道府県のホームページ(例:埼玉県)をご覧ください。

計算例 【出典:「不動産税制の手引き」(不動産流通近代化センター)】

【事例1】
 居住用財産の譲渡  
  所有期間  家屋20年、 敷地20年
  譲渡対価 5,000万円
  取得費  1,000万円(家屋については減価の額を控除した後の金額)
  譲渡費用    200万円
(計算 (注)簡単のため税率に復興財源確保法の特別税は加えていません。
(1)長期譲渡所得の金額   
  5,000万円-(1,000万円+200万円)=3,800万円  
(2)課税長期譲渡所得金額   
  3,800万円-3,000万円(特別控除額)=800万円 
(3)税額(所得税・住民税)  
   800万円×14%(軽減税率)=112万円 
(4)手取り金額  
   5,000万円-200万円-112万円=4,688万円

【事例2】
 居住用財産の譲渡  
  所有期間  家屋20年、 敷地20年
  譲渡対価 20,000万円
  取得費  4,000万円(家屋については減価の額を控除した後の金額)
  譲渡費用   800万円
(計算 (注)簡単のため税率に復興財源確保法の特別税は加えていません。
(1)長期譲渡所得の金額   
  20,000万円-(4,000万円+800万円)=15,200万円  
(2)課税長期譲渡所得金額   
  15,200万円-3,000万円(特別控除額)=12,200万円 
(3)税額(所得税・住民税)  
  (6,000万円までの税率は14%))
6,000万円×14%(軽減税率)=840万円 
(6,000万円を超す部分の税率は20%)
(12,200万円-6,000万円)×20%=1,240万円
(合計)
840万円+1,240万円=2,080万円
(4)手取り金額  
  20,000万円-800万円-2,080万円=17,120万円

計算方法の概要

【長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率】
〇土地・建物などの譲渡の場合、長期所有と短期所有では税率が異なります。
区分    所有期間     税率  
 合計  内訳
 所得税  市民税
 長期譲渡所得  譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年超  20%  15%  5%
 短期譲渡所得  譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年以内  39%  30%  9%
(注)復興財源確保法により、所得税が平成50年までは長期が15.315%、短期が30.63%になります。

【課税譲渡所得金額の算出】
〇長期、短期について次のように計算します。
  譲渡収入金額-必要経費-特別控除額=譲渡所得の金額 
     

〇ここで必要経費とは取得費と譲渡費用を加えたものです。
必要軽費  取得費  (住居用の場合)
取得価格-減価の額=取得費
譲渡費用  譲渡時の媒介手数料や印紙代など

〇譲渡収入金額、必要経費、特別控除額の適用要件や計算方法は細かく定められていますので、税務署や自治体に確認することをお勧めします。


【譲渡所得の課税の特例】
〇主な特例は、特別控除の特例、軽減税率の特例、交換・買換えの特例の3つに分類できます。具体例は次のようなものです。  
 (1)特別控除の特例 
 イ.  居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(クリック)
 ロ.  収用交換等の場合の5,000万円特別控除
  (注)特別控除の種類は6種類あります。
 (2)軽減税率の特例 
 イ.  居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
(クリック)
 ロ. 優良住宅地の造成等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
 (3)交換・買換えの特例
 イ.  固定資産を交換した場合の譲渡所得の特例
 ロ. 特定の居住用財産の買い替えの特例
 ハ. 特定の事業用資産の買い替えの特例
ニ. 平成21年および平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例

トップ住まい考「不動産を老後の資金にする」を考える>居住用財産を譲渡した場合の課税の特例
戻る