有料老人ホーム (このページでは「ホーム」と表記します)

入居した高齢者の方々に対して、食事の提供、介護の提供、選択掃除等の家事、健康管理のいずれかのサービスを行う施設です。(老人福祉法第29条)

ホームは、契約に基づいて入居します。一般の賃貸住宅では借地借家法で入居が強く守られていますが、ホームの場合、他の入居者に危害を加えるといった場合には退去しなければならないことがあります。契約の前に、ホームが説明する重要事項説明書の内容を納得がいくまで確認することが非常に重要です。重要事項説明書の様式は「有料老人ホーム設置運営標準指導指針(厚生労働省)」公益社団法人全国有料老人ホーム協会のホームページの最新版参照)の最後に別紙様式として添付されています。

有料老人ホームと賃貸住宅との比較
項目  有料老人ホーム  賃貸住宅
 権利形態    利用権方式(最も多い形態で、全体の75%を占める。)  建物賃貸借方式  
 建物賃貸借方式(最近増えてきている。)
 終身建物賃貸借方式
 入居者の保護  契約による。(契約書に記載された事由に該当すれば退去しなければならない。)  借地借家法による。(退去を求められても貸主に正当事由がない限り退去しなくてもよい。)
入居時の費用  一時金(家賃等の前払金という性格のもの。不要な場合もある。)   敷金(家賃の滞納時の弁済や退去時の原状回復のための費用で、返還の対象となる。)
 礼金(貸してもらうお礼という性格ものもであり返還されない。)

費用は

ホームは、長い間「終身利用権」を得るために入居時に「権利金」を支払うことになっていましたが、2012年4月の老人福祉法の改正でホームが権利金を受け取ることは禁止されました。しかし、家賃などの費用の前払は認められていて、消費者委員会の調査(2010年)によると、7割を超えるホームは家賃等の前払として一時金を受け取っています。額は3万円から3億円までの幅広い分布で、1,000万円台に設定しているホームが比較的多くみられます。

現状では、多くのホームで、図に示すように、ある割合で初期償却と呼ばれる分を差し引きます。この割合はホームごとに異なり、100%初期償却するところもあります。償却期間内に退去すると残りの期間分の家賃等が返還されることになっています(100%初期償却では返還はありません)。この償却期間もホームごとに異なりますので注意が必要です。なお、入居後3ヶ月以内に退去すると、入居していた日数分の家賃を除き前払金は返還されます(老人福祉法第29条第8項)

前払金については、老人福祉法で前払金の算定の根拠を書面で明示するよう定められています。しかし、入居後短期間で退所したが少額しか返金されないといった相談が消費者生活センターに寄せられているのが実態です。

厚生労働省は、前払金の算定方法を示しています。この算定方法では償却期間や初期償却といった考え方ではなく、「想定居住期間」、「想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて有料老人ホームの設置者が受領する額」といった考え方をとっています。詳しくはこちらをご覧ください。クリック

このように、厚生労働省が拠り所として示す算定方法と、現実にホームが算定している算定方法とは一致していないのが現状です。「利用料に係る法令等」のページに示す試算例のように、想定居住期間は入居年齢によって異なるのに、実際には細かく区分していません。また、厚生労働省の計算方法ではいわゆる初期償却に相当する期間超過分も入居年齢によって数パーセントから20数%の間で異なっていますが、実際の契約では入居年齢にかかわらず一律の割合であったり、100%償却するホームがあります。

繰り返しになりますが、契約の際に説明を受ける重要事項説明書を納得のいくまで確認することが非常に重要です。

運営は

 運営は株式会社と有限会社とで約8割を占めています。続いて社会福祉法人ですが、医療法人も増えています。(医療法人は2007年度から参入が認められています。)
出典:平成24年度 制度改正後の有料老人ホームに関する実態調査及び契約等に関する調査研究報告書(全国有料老人ホーム協会 2013年3月)

施設数と定員は

ホームは、「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」により、「介護付き」、「住宅型」、「健康型」の3つに分かれます(同指針の別表1)。
類型 特徴   施設数  定員
 介護付  介護等のサービスがついている  3,143  195,352人
 住宅型  生活支援(家事、入浴など)等のサービスがついている  4,324  117,740人
 健康型  食事等のサービスがついている  17  752人
(注)施設数と定員は2012年度 出典:平成24年度 制度改正後の有料老人ホームに関する実態調査及び契約等に関する調査研究報告書(全国有料老人ホーム協会 2013年3月)

入居者者の状況

 入居者の平均年齢は、介護付 ホームが85.6歳、住宅型ホームが83.5歳で、ほとんど差はありませんが年齢分布は図のように少し異なります。また、平均入居年数は介護付ホームが3.8年、住宅型ホームが2.4年(住宅型は2006年以降に開設されたホームが7割あることが影響している)となっています。出典:平成24年度 制度改正後の有料老人ホームに関する実態調査及び契約等に関する調査研究報告書(全国有料老人ホーム協会 2013年3月)

介護が必要になったら


 種類  どうするのか
介護付き 一般型特定施設
入居者生活介護 
 特定施設入居者生活介護を利用しながら生活を継続することが可能。介護サービスはホームの職員が提供
外部サービス利用型
特定施設入居者生活介護
 特定施設入居者生活介護を利用しながら生活を継続することが可能。介護サービスは委託先の介護サービス事業所が提供
住宅型 入居者自身の選択により地域の訪問介護等介護サービスを利用しながら生活を継続することが可能
健康型 契約を解除して退去




老後と住まい
戻る

トップ住み替え>有料老人ホーム