特別養護老人ホーム(特養)

 常に介護が必要で、自宅での生活が困難な高齢者の方々に対して、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う施設です。
 特別養護老人ホームは、老人福祉法の第20条の五で規定されています。なお、「介護老人福祉施設」と「特別養護老人ホーム」が併記されることがありますが、介護保険法では施設サービス費の支給対象である介護老人福祉施設として特別養護老人ホームだけを対象とする(86条)とされているからです。
 特養には、都道府県が事業者の指定・監督を行う「特別養護老人ホーム」と、市町村が事業者の指定・監督を行う「地域密着型特別養護老人ホーム」があります。
種類  定員  介護給付サービス名 備考 
 特別養護老人ホーム  30人以上  施設サービス   
 地域密着型特別養護老人ホーム  29人以下  地域密着型サービス  原則、ホームの所在する市町村に住んでいる方が入居できる

費用は

5万円~15万円社団法人不動産協会 高齢時代の住宅のあり方に関する研究報告書 9ページ図表1-3)
費用は、支払う介護保険料の段階、施設の種類(個室や多床室)などによって異なります。
(クリック)

都道府県知事が指定する指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では施設サービス費が支給されます。なお、従来は介護報酬の中に居住費や食費の大部分が含まれていましたが、2005年の介護保険制度の見直しにより居住費と食費は利用者の全額自己負担となっています。

運営するのは

都道府県、社会福祉法人

施設


全国の施設数と定員

施設数
 特別養護老人ホーム  6,254施設
 地域密着型特別養護老人ホーム  466施設
「平成23年介護サービス施設・事業所調査の概況(厚生労働省)」の調査対象を施設数とした)

定員は全国で約45万3000人
社団法人不動産協会 高齢時代の住宅のあり方に関する研究報告書 13ページ図表1-6)
なお、待機者は42万人とされています。

施設・設備など

特養の居室には、ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室、多床室(準ユニットケア加算)、多床室があります。
種類ごとの特養全定員数に占める定員割合と利用者負担
 種類
(主なもの)
 イメージ  定員数の
割合
利用者負担 (月額)
(住居費+食費+介護1割負担)
 ユニット型個室    26% 保険料の第1段階 5.0万円
軽減後2.5万円
保険料の第2段階 5.2万円
軽減後3.9万円
保険料の第3段階 8.5万円
軽減後6.4万円
保険料の第4段階 13万円以上
 従来型個室    6%  
 多床室    67% 保険料の第1段階  2.5万円
保険料の第2段階 3.7万円
軽減後2.8万円
保険料の第3段階 5.5万円
軽減後4.1万円
保険料の第4段階  8万円以上
「施設サービス等について(厚生労働省社会保障審議会介護保険部会(2013.9.18))資料2」に基づいて作成

老人福祉法に基づく「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」、介護保険法に基づく「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」の第3条で次のように(第3条から抜粋)定められています。
〇居室の定員は1名で、広さは10.65㎡以上。
〇静養室、浴室、洗面設備(居室のある階ごと)、便所(居室にある階ごと)、医務室、食堂及び機能訓練室(広さは、入所定員×3㎡)

利用者の状況

(*1)「施設サービス等について(厚生労働省社会保障審議会介護保険部会(2013.9.18))資料2」に基づいて作成

〇特別養護老人ホーム利用者の平均像
 平均入所年齢 (*2)  85.8歳  
 平均利用年数(*1)  4.0年  
 平均要介護度(*1)  3.89 中重度の要介護度(要介護3以上)が約88%
 入所者の所得状況(*1)  低所得者(介護保険料の段階が1~3)が約80%  
(*2)は「特別養護老人ホームにおける入所申し込みに関する調査研究(野村総合研究所 2010)」に基づいて作成

〇入所者と退所者の状況(*1)
 入所前  退所後
 家庭  31.8%  死亡  63.7%
 医療機関  24.5%  医療機関  28.9%
 介護老人保健施設  22.0%  家庭  2.9%
 その他  21.8%  その他  4.4%

〇入所の理由(*1)
 介護者不在、介護困難、居住問題等   60.2%
 認知症の周辺症状その他の理由による判断力の低下・喪失  21.1%
 経済的理由  2.8%
 虐待・介護放棄  0.7%
 その他  15.2%

入所の手続き

入所を希望する特養に、直接、入所の申し込みをします。
複数の特養を実際に訪問し、希望するサービスが受けられるか納得できるまで確認することが大切です。希望するサービスに加えて、利用料、キャンセル料、契約の解除の条件、看取り、万が一の看護・介護事故の際の損害賠償などを確認すると良いでしょう。



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