高齢者に適した住まいの仕様

住宅の品質確保の促進等に関する法律」に従って「日本住宅性能表示基準」と、性能について評価するための方法の基準(評価方法基準)が定められています。なお、住宅性能表示制度については「住宅性能表示制度を理解するための手引き」が国交省のホームページに掲載されています。
性能の項目としては「構造の安定に関すること」や「火災時の安全に関すること」など11項目あり、そのなかの9項目が「高齢者等への配慮に関すること」です。
「高齢者等への配慮に関すること」には、「部屋の配置」、「段差」、「手すり」など6項目があります。
新築やリフォームの際にはこれらを参考にしましょう。住宅性能は等級1~5があり、等級5が最も良いレベルです。

高齢者等配慮対策等級5では、
「高齢者等が安全に 移動することに特に配慮した措置が講じられており、介助用車いす使用者が基本生活行為を行うことを容易にすることに特に配慮した措置が講じられている」
とされています。

高齢者等配慮対策等級5の具体的な仕様についは評価方法基準の105~108ページに記載されています。その中から等級5の一部を抜粋して編集してみました。正確には評価方法基準をご覧ください。

1.部屋の配置
寝室と同じ階に、玄関、トイレ、浴室、食事室、脱衣室、洗面所があること。
基準にはありませんが、高齢になると夜間もトイレを使うことが多くなり、また、トイレまでの距離が4mを超えると遠く感じるようになることから、トイレを寝室に隣接して設置することも検討しましょう。

2.段差
段差がないこと(5mm以下は段差なしとされる)。
ただし、下図に示すようなケースを含め段差があっても等級5として認められるものがあります。

3.階段
勾配(蹴上げ/踏面)が6/7以下、かつ、55cm≦ 2×蹴上げ寸法+踏面寸法 ≦65cm
【例】一階床と2階床の間の高さが2m80cmの場合で、踏面が25cmの場合
(水平距離が3m50cmならば基準を満たす。)
この場合、蹴上げが20cm、段数14段となる。
・勾配(20/25=)5.6/7
・2×20cm+25cm=65cm
(水平距離を3mと短くすると基準を満たせない。)
この場合、蹴上げが23.3cm、段数12段となる。
・勾配(23.3/25=)6.5/7
・2×23.3cm+25cm=71.6cm

蹴込み寸法は3cm以下蹴込み板を設ける
なお、階段幅は建築基準法で75cm以上となっています。

4.手すり
場所   基準
 階段  両側に踏面の先端からの高さが70cmから90cmの位置の設けられていること
 便所  立ち座りのためのものが設けられていること
 浴室  浴室出入り、浴槽出入り、浴槽内での立ち座り、姿勢保持及び洗い場の立ち座りのためのものが設けられていること
 玄関  上がり框(がまち)部の昇降及びり靴の着脱のためものが設けられていること
 脱衣場  衣服の着脱のものが設けられていること

5.通路及び出入口の幅員
通路の幅は85cm以上(柱などの場所は80cm以上)
〇玄関、便所、浴室、寝室などの出入口の幅は80cm以上

6.寝室、便所及び浴室
寝室は12㎡以上
便所は短いほうの寸法が1m30cm以上(または便器前方に50cmのスペース)、便器は腰掛式
浴室は短いほうの寸法が1m40cm以上で面積は2.5㎡以上



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