認知症予防 |
平成26年度所沢市介護予防講演会(5月22日)で、「地域で取り組む認知症予防」と題して山田達夫氏(一般社団法人「巨樹の会」関東統括本部長、順天堂大学客員教授、明生リハビリテーション病院名誉院長)が講演されました。 興味をもったことを書きとめてみましたが、管理人の理解であり誤解もあるかもしれません。 (認知症とは) 認知症は、「もの忘れ」に加えて「人様に世話にならなければならない」状態・症状のことで、 健常 ⇒MCI(軽度認知障害:認知症予備軍である)【もの忘れがあるがなんとか自立している】 ⇒認知症【もの忘れ+人様の世話にならなければならない】 と進行します。 MCIは放置すると1年に1割づつ、5年で半数以上が認知症に進みます。更に認知症が進行すると人格崩壊から寝たきりとなり亡くなることになります。現在、認知症は462万人、MCIは400万人と推計されています。 (もの忘れ) 記憶には即時記憶(7秒以内は覚えている)、中間期記憶(数分から数時間)、長期記憶があります。認知症では中間期記憶が阻害されるため、即時記憶が必要な会話はできますし、また長期記憶により昔のことは覚えていますが、食事をしたことなどは覚えていないといった状態となります。 一方、「良いもの忘れ」は、後で思い出すことができたり、重要でないことや体験の一部を思い出せないだけといったものです。 (類型) 認知症にはアルツハイマー型やレビー小体型などがあり、前者は女性の割合が高く、後者は男性の割合が高いという特徴があります。レビー小体型は、もの忘れに加えて幻覚(夜中にいない人や虫が見えるなど)という症状があります。この他、ピック病と呼ばれるタイプもあり、この病はうつ病と間違われやすく、また、異常行動を伴います。 (アルツハイマー型) 認知症で最も多いアルツハイマー型は、数十年の潜伏期間を経て、発症するともの忘れが始まります。80歳から急激に増え、85歳では3分の1、90歳では半分の人が罹患します。もの忘れで病院に来る人の7割から8割がアルツハイマー型と診断され、多くは女性です。家族に認知症の方がいると、認知症の罹患リスクが5倍になります。 (MCIやアルツハイマー型認知症の初期症状) MCIや認知症初期には次のような症状が現れます。 1.同じことを何度も言う 2.探し物を繰り返す 3.自分のもの忘れをあまり自覚していない (対応) 認知症患者は、 ・直ぐ忘れるので次に何をしていいのか分からない ・以前はできていたことができなくなり、役割を失い自立ができなくなることで孤立感や不安感を 持つ などの状態にあります。しかし、患者自身は病気と思っていないので、家族から叱られると強がってみせ、時には暴力をふるうことにもなります。 本人が自覚しない以上、先ず家族が認識を変える必要があります。患者の状態を理解し、役割を持たせる、孤独にさせない、外に連れ出すといった対応が必要です。ただ、最初から家族が適切な対応をとることは難しいので、認知症対応の専門家に対応を依頼し、その対応を学びながら徐々に家族で介護したほうがよいと思われます。 (予防) アルツハイマー病の発症を5年遅らせると患者数が半分になり国の医療予算も減ります。認知症の薬は進行を遅らせることはできますが治すことはできません。そこで予防が重要です。認知症になるリスクは、タバコ、頭部外傷、糖尿病や高血圧などの生活習慣病により高くなるので、これらを止める・ならない・治すことが大切です。また、高齢になってからのストレスはアルツハイマー型認知症の発症原因の一つとなることも注意しておく必要があります。 認知症予防は、MCIの段階で留めることも重要です。認知症はある程度進行してしまってからでは健常な状態への復帰は難しくなるので、MCIまたは認知症の軽度の段階での早期発見と早期対策が非常に大事です。 講師の進める「安心院プロジェクト」では、MCIの18名が予防に取り組んだ結果、3年後に認知症に進んだ人はゼロ、逆に16人が健常に戻るという結果となりました。このプロジェクトは、10人以内の小グループを作り、自発的に好きな活動を企画し取り組んでもらうというもので、例としては週一回集まって昼食作りをしたり、ミニ旅行をしたりします。男性が慣れない手料理をするなど新しいことに挑戦し一歩ずつ前進することで生きがいや自信を持つことができます。この取り組みでは定期的に実行し継続することが大切です。 認知症予防の三本柱(講演会資料より転載)
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