老年期うつ病 |
第7回和光病院公開講座(9月26日)で、「今日から始める認知症予防」と題して今井幸充氏(和光病院長)が講演されました。1時間半の講演の一部として、「老年期うつ病」に触れられました。大変重い話でした。私なりに理解したことを書きとめてみましたが、素人の理解であり誤解もあるかもしれません。 老年期うつ病は、歳とともに脳の機能が低下することによって起こる様々な精神症状の一つである。老年期になると社会的な役割の喪失、配偶者や知人の喪失などの心理的な影響をはねのける力が弱くなっていることもあり精神症状が出やすい。 若い人のうつ病は、悲哀感、うつ感、思考の抑制などの典型的なうつ症状が現れる。一方、老年期うつ病は、腰が痛い、膝が痛い、元気が出ない、咳が出るといった体の不調を訴えることが多い。そのため、最初に内科に行ってしまい、うつ病の診断結果が遅れてしまうこともある。また、老年期うつ病は、アルツハイマー型認知症の初期と区別が難しく、間違われることもある。 うつ病は治る病であり早く治療をすることが重要で、できるだけ早く専門医の診察を受けることである。うつ病では自殺が多く早期の治療が欠かせない。 うつ病への対処である。一つは、うつ病の辛さを共感することである。決して励まさないようにする。患者は、頑張ってと言われても頑張れないから辛いのである。「辛いよね。わかる。」といった対応をとるようにする。 その他、体はよく休ませるようにすることと、食欲不振がある場合は水分の補給に努めることが必要である。自殺を考えているのかどうかを口に出して尋ね、あると答えたときには、「辛いよね。わかる。でも早く病院に行こうよ。必ず治るから。」というように対応し専門医の診断を受けるように促す。 講演の最後に、認知症になっても笑って暮らせるためには、ということで3点ほど挙げられました。 第一は「健康」。 第二は「お金」。子供に美田を残すのではなく、老後になって「自分たちが楽しめるお金」を貯めることである。 第三は「人間関係」。好かれる老人になるように努める。人間関係のなかでも「家族との人間関係」が特に大切である。家族を大切にし世話をできる環境をつくることである。 |