認知症アクティビティ・ケア
「認知症予防と進行を抑えるアクティビティ・ケアを考える」(主催:日本認知症コミュニケーション協議会 9月20日)で、山根寛氏(京都大学大学院医学研究科教授)がご自身のお母様の認知症の体験を交えながらお話になった「認知症アクティビティ・ケア」に興味を引かれましたので、私なりに理解したことを書きとめてみました。


高齢になると記憶力などは誰でも緩やかであるが低下する。しかし、認知症はその進行が速いので、できるだけ早い時期から進行を遅らせることが大切である。
認知症の場合、一つ一つの行為は正しいが、つなぎ合わせるとおかしくなる。たとえば、冷凍食品を家族が帰る前に冷蔵庫から出して用意していた人が認知症になって、夜中に冷蔵庫から全ての冷凍食品を出すようになった。冷蔵庫に鍵をかけても鍵を壊して出してしまう。これは解凍する行為自体は正しいが、「時」と「一つずつ」ということが理解できなくなっているために全体としておかしくなっている。
認知症の人は、できたことができなくなってしまい、できたことを人に頼むことがつらく感じられ、それが不安、焦燥などの周辺症状につながる。家族で面倒がみられなくなり施設に入れると、さらに混乱し、さらに脳の機能が低下する。できれば住み慣れたところに住むということが望ましい。

アクティビティ・ケアは、一般的には、「老いてケアが必要な人とそのケアにあたる者が、共に、様々な生活行為(アクティビティ)を楽しみながら取り組み、心豊かに快適な日々を過ごし、ひととしての尊厳を奪わない暮らしを支える」ことである。認知症の場合も、アクティビティ・ケアに使用する活動(アクティビティ)は特別なものでなく、散歩、料理、化粧、音楽、園芸、ゲーム、運動など日々の生活行為すべてである。これらの生活行為を通じて、脳機能の活性化や維持、身体機能の維持などが図られる。大切なことは、これらのアクティビティが認知症とどのような関係にあるのかを学び理解してケアにあたることである。

ケアでは、認知症の人が満足するようにすることが大切である。たとえば、機能訓練が始まるから食事を早く済ませましょうというのは本末転倒で、食事を楽しみ、自分で食事ができるようになってよかったと思えるようにすることである。

ケアする人とされる人の距離は、「他人の距離」がちょうどよい。身内では心配し過ぎたり、遠慮がない分強く言い過ぎたりする。その視点からも地域の中でケアが行われることが望ましい。


お話の中で、「QOD」という言葉を紹介されました。Quality Of Death。「いい形で人生を終わる」という意味だそうです。




老後と住まい
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