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老後と住まい
認知症高齢者グループホームの歴史
グループホームは、1980年代にスウェーデンで登場しました。その後、北欧諸国に広がり、認知症の症状緩和の有効性に注目が集まるようになると日本でも導入されるようになりました。従来の大規模な介護施設で行われていた画一的な集団ケアや非家庭的な居住環境に疑問を持つ医療・福祉関係の方々が草の根的に取り組むことによって全国に広がっていきました。

その後、厚生省のモデル事業を経て、1997年度には老人福祉法に基づく「痴呆対応型老人共同生活援助事業」として制度化されました。1999年のゴールドプラン21では、「痴呆性老人グループホーム」(注:2006年の介護保険法改正以前の名称)の整備目標は2004年度までに
3,200ヵ所とされました(参考1)。

2000年に介護保険制度が始まると、人員・設備・運営の基準を満たしたグループホームは介護保険の給付対象となりました。

2006年の介護保険法の改正で、グループホームの指定が、それまで都道府県が指定を行っていたのが市町村が行うようになりました。また、介護保険が始まった当初はグループホームの利用者は「中程度の認知症の高齢者」とされ、介護報酬でも中等度の患者を相対的に高く評価していましたが、法改正により、それまで対象としていなかった「認知症に伴って著しい精神症状や行動障害が現れている重度の高齢者」も対象になりました。法律的には2006年前まで「除く」と規定されていた記述が削除されています(参考2)。


(参考1)ゴールドプランの変遷
1989年:高齢者保健福祉推進十か年戦略ゴールドプラン)の策定
  〇取組期間:1999年までの10か年
〇・ヘルパー数や施設整備量などの整備目標を設定
  ・在宅福祉推進十か年事業
  ・ねたきり老人ゼロ作戦 等
〇このプランは具体的な整備目標を数値化して示し、介護の社会化に向けての一つの道筋をつけたという点で重要な政策といえる。その後は高齢者介護に関する国の予算はこのプランに沿って相対的に比重を高めていく。
1994年:新ゴールドプランの策定
  〇ゴールドプランを全面的に見直し、ヘルパー数や施設整備量などの整備目標を大幅に引き上げ 等
1999年:ゴールドプラン21の策定(厚生省報道発表資料 99/12/21
  〇取組期間:2000年度から2004年度までの5年間
〇・ホームヘルパーの人材確保等
  ・介護関連施設整備
  ・認知症高齢者支援対策の推進
  ・地域生活支援体制の整備
  ・利用者保護と信頼できる介護サービスの育成 等

(参考2)介護保険法改正(2006年)前後の比較

改正前 改正後
(第7条15項)この法律において「痴呆対応型共同生活介護」とは、要介護者であって痴呆の状態にあるもの(当該痴呆に伴って著しい精神症状を呈する者及び当該痴呆に伴って著しい行動異常がある者並びにその者の痴呆の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)について、その共同生活を営むべき住居において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことをいう。 (第7条15項)この法律において「認知症対応型共同生活介護」とは、要介護者であって、脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態(以下「認知症」という。)であるもの(その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)について、その共同生活を営むべき住居において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことをいう。

(福祉住環境コーディネーター公式テキスト(1級)に基づき作成(一部管理者が変更)
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