刑法219条 |
参加したセミナーで、石飛先生(特別養護老人ホーム蘆花ホーム医師、「平穏死のすすめ」などの著者)の講演を聴講する機会がありました。 講演の中で先生は刑法219条に言及されました。 特別養護老人ホーム(特養)で体調を崩し、救急搬送されて病院で手当てを受けた際、生きるために胃瘻(いろう:胃にチューブを差し込んで固定しそこから栄養液を定期的に注入する)の措置をしなければならないと言われることがあるそうです。 自分の親が胃瘻を受けることになったら承諾しますか、断りますか? ところがここで刑法219条が問題になります。医者は老年者などを保護する責任があり、さらにその責任を果たさず患者さんが死亡などされた場合は傷害罪より重い罪に問われることになっているようで(下記の【参考】を参照してください)、医師としては、不作為の殺人に問われないためには胃瘻措置を施さざるを得ないことになります。 先生は、胃瘻をすることにより回復する場合は勿論措置すべきだけれども、特養では胃瘻を行っている人の9割は寝たきり、9割は意思伝達ができないそうです。そうした実態を見ると寝たきりで生かされるだけというケースでは平穏死が認められるよう刑法を改正すべきであるという趣旨の指摘をされていました。ここでいう平穏死とは老衰に対しては何もしないことが免責される概念であるという定義をされていました。 非常に重い命題です。 【参考】 |